「おばけ、こわーい」 ある日の夕方、ソファーに座っていた息子が眉をひそめて言った。
「おばけがいるの?」 息子の見ている方に目をやると人形や陶器の動物が並んでいる棚がある。
「ほんとだ!おばけがいるね!」と慌てて息子の背中に手を回して一緒にソファーに顔をうずめる。 しばらくして、そーっと顔を上げて言った。
「おばけ、おうちに帰ったよ」
息子もそーっと顔を上げて棚を見る。
「まだ、いる」
「あ、まだいるね」
再び、息子と一緒に顔をソファーにうずめる。
もういいかなと思って、顔を上げて言った。
「おばけ、おうちにかえったよ」
息子もソファーから顔を離して棚をこわごわと見た。
「おばけ、ばいばいー」
安堵したような息子の顔。 あまりの可愛さに、ぎゅーっと抱きしめた。
息子が保育園へ行ったあと、棚の人形や陶器の動物を見ると、ちょっと怖くなった。
あの時、わたしは息子に合わせて演技をしたけれど、本当は何かがいるのかもしれない。
大人には見えない何かが息子には見えたのかもしれない。
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今日の中日新聞の広告に「愛知怪談」の本の紹介が載っていた。
私の友人、内浦有美さんも共著として関わっており、広告に彼女の名前も見つけて嬉しくなった。
愛知県内の精文館書店で購入すると、内浦有美さんの特典ペーパー「豊橋怪奇異聞」がもらえるとのこと。 息子がもう少し大きくなったら、一緒にこの本を読んでみたいな。
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